私たちがRakutiveに込めた思いは、以下の疑問から湧き出たエネルギー
Rakutiveのきっかけは、一つの依頼から。ある日、外国人労働者が日本に来て、仕事をこなし、生活をするための日本語教育ツールをAIで作れないかという問い合わせが来ました。
日本語を学ぶという意味では、様々なツールがあり、また、日本語能力試験によりシステム化されたレベルが運用されています。これは私たちが英語を体得するときに、9年以上学校で学び、英検やTOICEなどにより、その能力を理解するのと同じです。
一部の努力された方は、体得された言語を使い仕事や生活を、難なくこなされる方もいらっしゃると思いますが、すべての方がそうなるわけではありません。日本人でも、日本語のコミュニケーションや生活の中で困惑することはあるわけですから、ましてや海外の方が言葉が話せるからと言って苦労がないわけがありません。
外国人の方が何に困られているかを調査、分析し、本当に何が必要なのかを考えてみることにしました。

疑問1:外国人が日本で生活し、就業するために、本当に何が必要なんでしょうか?
多くの外国人に、日本に来日して生活して、どのようなことが問題と感じているかを調査した結果、左のような統計になりました。言葉の問題もさることながら、日本文化や習慣が、彼らの母国と異なることに苦労していることが思いのほか、多いことが理解できます。言語としてのコミュニケーションにおける壁に加えて、このような日本文化や習慣に関してもサポートすることが、外国人が日本で活躍できるポイントとなることがうかがえます。
言葉の壁だけでなく、日本の文化/習慣への理解を深めるために、どのようなことが必要でしょうか?
教育という意味では、右図のように、eラーニングなど様々なツールがあります。これらを大別すると、リアルタイムで利用するものと、時間を確保して学ぶものに大別されることがわかりました。
Rakutiveは、特にまったなしのリアルタイムに起こる言葉や文化/習慣の壁をサポートし、さらに、その体験を反復練習の機会や、そのときに感じたなに、なぜまで理解してもらおうという思いで開発したものです。
ツールに関する統計をリアルタイム性と非リアルタイム性に分類すると、下記のようになります。大切なのは、今、目の前で発生しているコミュニケーションや理解に関する困難を解決してあげること。それらは翻訳(通訳)に加えて、その場で理解することをサポートするためのコンシェルジェやGoogleレンズのような機能であることがわかります。
一方で、時間を定めて学ぶツールである非リアルタイム性のツールには、eラーニングや動画コンテンツなど、いわゆる日本語教育というものにはこちらに分類されるもが多いことがわかります。Rakutiveでは、外国人の方々が、仕事や生活で、今、目の前で、待ったなしで起こっている事象をサポートすることが第一であり、また、その事象を振り返って反復練習することが非リアルタイム性の学習においても効果があると考えました。
調査結果による必要性の分類
リアルタイム性 | 非リアルタイム性 |
・翻訳アプリ ・コンシェルジェ ・ロールプレイ ・Googleレンズ | eラーニング 動画コンテンツ 語学レッスンアプリ |
疑問2:言語のSymbolicな変換ができればコミュニケーションは十分なのでしょうか?
吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。
翻訳は、AIの出現で飛躍的にその能力が向上しました。最近では、AIを使った、英会話レッスンアプリなども増えてきています。外国人が日本で仕事をし生活を送るためには、言語の壁を埋めることは、最も必須の機能だということは疑いの余地はありません。コミュニケーションをとり、意思疎通の中で自信をもって楽しく過ごすためには、それだけで十分なのでしょうか?
情報理論の分野で有名なシャノンは、コミュニケーションに関しても深い研究を行っていて、コミュニケーションの研究の元となる下記のようなモデルを定義しました。シャノンのコミュニケーションモデルでの人と人のコミュニケーションは、情報発信者の心の中にある意図をメッセージとして作り、それを口で発生し相手に伝えます。受信者は、その音声を耳で聞き、そのメッセージを解釈して理解するというモデルです。このモデルに翻訳という機能を当てはめると、メッセージを日本語として記号化し、それを翻訳機が適切な外国語に変換し、受信者は、その言語をメッセージに変換するという、シンボリックな変換を行っている機能になります。

外国人とのコミュニケーションにおいて、シンボリックな変換は必要不可欠ですが、一方で、日本文化や習慣の理解が欠如していると、この図の解釈という部分で情報発信者の意図が理解できません。
実は、これが、ニーズ調査で如実にあらわれた、外国人にとっては、日本文化や習慣の理解とためのツールというニーズになっていると考えています。Rakutiveでは、意思疎通をサポートするために、その会話の背景にある日本文化や習慣を理解を助けるための、なぜ、なに、どうしてということを提供していくことを考えました。